うなぎの味に欠かせないもの

うなぎはその身の美味しさもさることながら、たれの味わいも大きな魅力となっています。他の魚とは明らかに風味の異なるたれを用いることも鰻重や蒲焼きの特徴となっています。うなぎのたれの成分は主に醤油、みりん、日本酒などとなっており、特別なものが使われているわけではありません。しかし、うなぎ屋さんの秘伝のたれは極めて味わい深く自宅で容易に再現できるものではありません。

何故使っている食材が特別なわけではないのにあれほど美味しいのか、疑問に思ったことはありませんか。その謎を解くヒントはその伝統にあります。いわゆるうなぎ屋さんの老舗と呼ばれるお店で使われるたれは継ぎ足しでその味が維持されています。多くのお店ではたれの味見を行いません。何故なら味の感じ方はその日によって変わるので、味見をしてしまうことで伝統の味を変えてしまう恐れがあるからです。

定められた成分と作り方、継ぎ足しによって伝統的な味は守られます。また、うなぎ屋さんのたれにはうなぎの頭や骨の出汁が使われており、それらから美味しい成分が出ています。これは時間が経てば経つほど優れた味わいとなっていくため、継ぎ足しで守られることで年々美味しさが増していくとも考えられます。

長い年月を経ても腐らない理由とは

うなぎに使用される秘伝のたれは長い年月をかけて継ぎ足されることで味わいが増していきます。それゆえに自宅で真似をすることが難しいと言えます。しかし、ここで問題となるのが継ぎ足しを繰り返しているのに何故腐らないのかということです。一般的な感覚で言えば高い温度で煮沸すれば殺菌を行うことは可能です。ところが、煮沸してしまうと味わいもまた失われていきます。

そのため、鰻重を取り扱っているお店では基本的に煮沸を行いません。そこで行われているのが低温殺菌です。低温殺菌とは焼いた具を液体に浸すことで殺菌する方法です。日頃たくさんのお客さんが通っているお店であれば、通常の業務の中で焼いたうなぎをたれに付けることで自然と低温殺菌を行っていることになります。もし、お客さんが少なければ通常の業務とは別に殺菌を行う必要があります。

つまり、人気店はお客さんがたくさん来ることによって自ずと低温殺菌が可能となり、秘伝のたれの品質は守られるのです。秘伝というのはその成分が秘密であるだけでなく、日々の低温殺菌によって伝統の味が守られていることも重要なポイントです。それが今日においても美味しさを維持することに繋がっています。